見逃すと危険!腎盂炎の症状と予防法を徹底解説

医療

腎盂炎とは?

腎盂炎(じんうえん)は、腎臓の一部である腎盂(じんう)が細菌によって感染し、炎症を引き起こす病気です。腎盂は、尿を腎臓から膀胱へ運ぶ通路の役割を果たしており、この部分に細菌が感染すると、腎盂炎が発症します。腎盂炎は、放置すると重篤な合併症を引き起こすこともあるため、早期に治療が必要です。

腎盂炎の原因

腎盂炎の主な原因は、細菌感染です。通常、腎盂炎は尿路感染症の一種であり、尿道や膀胱から上行して腎臓に達した細菌が原因となります。最も一般的な原因菌は、大腸菌(Escherichia coli)です。以下に、腎盂炎の原因となるいくつかの要因を紹介します。

  1. 尿路感染症:
    • 尿路感染症(UTI)は、尿道から膀胱にかけての感染症で、腎盂炎の前段階となることが多いです。尿道から侵入した細菌が、膀胱に留まらず腎臓まで達すると、腎盂炎を引き起こす可能性があります。
  2. 尿路の閉塞:
    • 尿路結石や前立腺肥大症、腫瘍などが原因で尿の流れが妨げられると、尿が逆流し、細菌が腎臓に達しやすくなります。これが腎盂炎の発症リスクを高めます。
  3. 免疫力の低下:
    • 免疫力が低下すると、体内で細菌が増殖しやすくなります。高齢者や糖尿病患者、免疫抑制薬を使用している人は、腎盂炎のリスクが高くなります。
  4. 女性の生理的要因:
    • 女性は男性よりも尿道が短いため、細菌が膀胱に侵入しやすく、その結果、腎盂炎を発症するリスクが高いです。特に、妊娠中の女性は、ホルモンの変化や胎児による膀胱の圧迫で、尿の流れが悪くなることがあり、腎盂炎になりやすいです。

腎盂炎の症状

腎盂炎の症状は、感染の重症度や進行具合によって異なりますが、以下のような症状が一般的です。

  1. 発熱:
    • 腎盂炎の初期症状として、高熱(38℃以上)が突然現れることがあります。発熱とともに寒気や震えが生じることもあります。
  2. 背中や腰の痛み:
    • 腎臓は腰の後ろ側に位置しているため、腎盂炎になると背中や腰に強い痛みを感じることがあります。特に、痛みが片側に集中することが多いです。
  3. 尿に関連する症状:
    • 腎盂炎では、頻尿や排尿時の痛み(排尿困難)、尿の濁り、尿に血が混じる(血尿)などの症状が現れることがあります。
  4. 全身の倦怠感:
    • 腎盂炎が進行すると、全身の疲労感や倦怠感、食欲不振などの症状が現れることもあります。

腎盂炎の診断と治療

腎盂炎の診断は、主に症状の確認と尿検査、血液検査によって行われます。尿検査では、尿中の白血球や細菌の存在を確認し、血液検査では炎症の程度や腎臓の機能を評価します。場合によっては、エコーやCTスキャンなどの画像検査が行われることもあります。

1. 抗生物質による治療:

  • 腎盂炎の治療には、主に抗生物質が使用されます。適切な抗生物質を選ぶために、尿培養検査を行い、原因菌に対する感受性を調べることが一般的です。軽症の場合は、経口抗生物質を数日から数週間服用しますが、重症の場合は入院して点滴による抗生物質の投与が必要になることもあります。

2. 鎮痛剤の使用:

  • 痛みが強い場合には、鎮痛剤が処方されることがあります。痛みを和らげることで、日常生活を送りやすくなります。

3. 水分補給:

  • 腎盂炎の治療中は、水分をしっかり摂取することが大切です。十分な水分摂取によって、尿の量が増え、細菌や老廃物を体外に排出しやすくなります。

4. 尿路閉塞の治療:

  • 尿路閉塞が原因で腎盂炎が発生している場合、結石の除去や腫瘍の治療が必要です。この場合、外科的な治療が行われることがあります。

腎盂炎の予防

腎盂炎を予防するためには、日常生活でいくつかのポイントに注意することが重要です。

  1. 適切な水分摂取:
    • 日常的に十分な水分を摂取することで、尿の量を増やし、尿路を清潔に保つことができます。これにより、細菌の増殖を防ぐことができます。
  2. トイレの後の清潔保持:
    • 特に女性は、トイレの後に前から後ろへ拭く習慣を持つことが大切です。これにより、肛門周りの細菌が尿道に入り込むリスクを減らすことができます。
  3. 尿意を我慢しない:
    • 尿意を感じたら、できるだけ早くトイレに行くことが大切です。尿を長時間我慢すると、膀胱内で細菌が増殖しやすくなり、腎盂炎のリスクが高まります。
  4. 定期的な健康チェック:
    • 特に糖尿病患者や免疫力が低下している人は、定期的に健康チェックを受けることが大切です。早期発見と早期治療が腎盂炎の予防に役立ちます。

まとめ

腎盂炎は、腎臓に感染が広がることで発症する病気で、早期に治療しないと重篤な合併症を引き起こす可能性があります。原因は主に細菌感染ですが、尿路の閉塞や免疫力の低下などがリスクを高めます。腎盂炎の症状には、発熱、背中や腰の痛み、尿に関連する異常などがあります。治療は主に抗生物質を用い、場合によっては入院が必要になることもあります。予防策としては、十分な水分摂取、清潔保持、そして健康チェックが重要です。

日常生活での注意を怠らず、早期に症状を察知して適切な治療を受けることで、腎盂炎を予防し、健康を保つことができます。

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