要支援・要介護の違いとは?認定基準や介護料金の支給限度額とは?

介護

介護に関する調査や情報収集を行う際、しばしば「要支援」や「要介護」といった言葉に出会うことがあります。一般的には、支援や介護が必要な状態を指していると理解できるかもしれませんが、具体的な意味がわからない方も多いかもしれません。また、要支援と要介護の違いについても十分に理解されていない方がいるでしょう。

この記事では、要支援や要介護が具体的に何を指しているのかについて解説し、またそれらの違いに焦点を当てて説明します。実例を交えながら紹介することで、要支援と要介護の違いを分かりやすく理解していただけるよう努めます。

要支援・要介護の違いは介護の必要度

要支援・要介護は、生活を送る上でどの程度介護が必要なのかを示す言葉です。

必要となる介護の度合いが小さい順に、大きく分けると以下の3つの段階があります。

■自立
■要支援
■要介護

各状態において、どの程度の介護が必要とされるかを見てみましょう。

自立とは?

自立とは、生活を営む上で介護を必要としない状態のことを指します。立ち上がったり座ったり、歩行したり、食事を摂ったり、電話をかけたりする能力が十分に備わっている人が「自立」と認識されます。

ただし、自立しているからといって介護サービスが受けられないわけではありません。要支援や要介護の状態でなくても利用できないサービスも存在するため、その点を把握しておくことが重要です。

要支援とは?

要支援とは、基本的な生活動作のほとんどを自分で行えるが、ある程度の支援が必要な状態を指します。例えば、立つ・座る・歩くなどの基本的な動作や食事に関しては問題がないが、風呂掃除などの特定の活動には支援が必要な人が「要支援」と評価されます。要支援には「要支援1」と「要支援2」の2つの段階があり、介護の必要性が低い方が「1」で、高い方が「2」と区分されます。この段階によって受けられる介護サービスなどにも違いがあるため、注意が必要です。

要介護とは?

要介護とは、生活全般で支援が必要な状態を指します。一人での食事や入浴が難しく、これらの日常活動にサポートが必要な人が「要介護」と評価されます。

要介護には1から5までの段階が存在し、段階が進むにつれてより広範かつ手厚い介護が必要とされます。

要介護と要支援の認定区分と評価の目安・具体的な状態

介護度認定の目安状態の例
要支援1生活に必要なことはほとんど1人でできる。食事や入浴は問題なく1人でできるが、掃除は支援が必要。
要支援2おおむね生活に必要なことはほとんど1人でできるが、
要支援1に比べると支援が必要なことが多い。
食事や排泄は問題なく1人でできるが、背中を洗うのに支援が必要。
要介護1立つ動作や歩行が不安定であり、生活の一部で介護が必要な状態。入浴時や着替えにも介護が必要。
要介護2立つ動作や歩行が1人でできないことが多くなり、
生活の多くの部分で介護が必要な状態。
排せつや入浴はほとんど介護が必要。
要介護3立つ動作や歩行が1人でできず、生活全般で介護が必要。排せつや入浴、着替えでは必ず介護が必要。
要介護4自力でできることはほとんどなく、介護がないと生活もままならない。
意思疎通も難しくなる。
日常生活の全てで介護が必要で、認知症による暴言、
徘徊などにも対応する必要がある。
要介護5寝たきりの状態。意思疎通も困難に。寝たきりの状態。会話が困難。

区分による違い ①利用できる介護サービス

要介護と要支援の方では、利用できる介護サービスに違いがあります。

以下の順に、どのようなサービスが利用できるのかを見ていきましょう。

■要支援1・2の人が利用できるサービス
■要介護1~5の人が利用できるサービス

要支援1・2:利用できるサービス

要支援1・2の方は、介護予防サービスを利用できます。これは、居住地域でできるだけ自立した生活をサポートするサービスのことです。

たとえば、介護予防訪問看護や介護予防通所リハビリテーションなどが該当します。

このサービスの主な目的は、心身の状態や機能を維持または向上させ、要介護状態にならないように予防することです。

要介護1~5:利用できるサービス

要介護1〜5の方は、さまざまな介護サービスを受けることができます。

デイサービスやショートステイなど、自宅でのサービスから特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設での生活まで、様々な選択肢があります。

要介護状態になると、日常的な介護が必要になり、家族だけで生活を支えることが難しくなります。そのため、介護サービスを必要に応じて利用することで、家族の負担を軽減しつつ、介護を継続することが可能です。

区分による違い ②ケアプラン作成の流れ

要支援と要介護において、ケアプランの策定手順も異なります。まず、ケアプランについての基本的な概念から始め、それぞれの状態でのケアプランの構築方法を探っていきましょう。

ケアプランとは?

ケアプランは、介護が必要な方やその家族の希望に合わせ、適切なサービスを提供するために策定される介護計画書です。

介護サービスを利用するためには、ケアプランの作成が必要であり、このプランの呼称や作成手法は要支援と要介護の場合で異なります。以下では、それぞれの状態でのケアプランの作成方法について詳しく説明します。

要支援の場合

要支援の際には、「介護予防ケアプラン」として知られる計画が作成されます。

このケアプランの作成を担当するのは、介護が必要な方が居住する地域の地域包括支援センターです。地域包括支援センターは、各市町村に配置されており、相談は無料で受け付けられるため、面談や電話などで気軽に相談してみることがおすすめです。

介護予防ケアプランの作成には、詳細な情報が必要とされるため、受けられる方は率直に質問に応じてください。

要介護の場合

逆に、要介護の際には「ケアプラン」として知られる計画が策定されます。

このケアプランを作成してくれるのは、ケアマネージャーと呼ばれる専門家です。ケアマネージャーは介護支援専門員とも呼ばれ、ケアプランの作成や自治体、施設との連絡などを担当します。

ケアプランも、介護予防ケアプランと同じく、主に聞き取りを中心に情報収集が行われます。現状だけでなく、悩みや希望、要望についても質問されることがありますので、遠慮せずに自分の状況を話してみてください。

区分による違い ③区分支給限度基準額

要介護と要支援の場合、区分支給限度基準額にも異なる規定が存在します。そもそも、区分支給限度基準額とは何なのか、そしてこれについても詳しく見ていくこととしましょう。

区分支給限度基準額とは?

区分支給限度基準額とは、要介護の程度に応じて設定された介護保険サービスの利用上限を指します。この基準額を越えて介護保険サービスを利用する場合、超過分は全額自己負担となります。

重要な点として、区分支給限度基準額は通常「単位」で設定されており、「円」ではないことに留意する必要があります。そのため、実際の金額とは異なる可能性があるため、慎重な確認が求められます。

区分支給限度基準額一覧

区分支給限度基準額の一覧は以下の通りです。

区分区分支給限度基準額(単位)自己負担割合1割自己負担割合2割自己負担割合3割
要支援150325,032円10,064円15,096円
要支援21053110,531円21,062円31,593円
要介護11676516,765円33,530円50,295円
要介護21970519,705円39,410円59,115円
要介護32704827,048円54,096円81,144円
要介護43093830,938円61,876円92,814円
要介護53621736,217円72,434円108,651円
※1単位あたり10円として計算

区分による違い ④介護サービスの利用料

前述の通り、介護度に応じて区分支給限度基準額が異なることから、サービスの利用料も区分ごとに異なります。ただし、一部のサービスでは介護度の変化に伴って利用料が変わらない場合もあります。

このため、要介護度に応じて利用料が変動するサービスと変動しないサービスについて、いくつかの例を挙げながら解説していきましょう。

要介護度で利用料金が変わる介護サービス

要介護度で利用料金が変わる介護サービスには、以下のようなものが挙げられます。

■通所介護
■通所リハビリテーション
■地域密着型通所介護
■認知症対応型通所介護
■短期入所生活介護
■短期入所療養介護
■小規模多機能型居宅介護
■看護小規模多機能型居宅介護

要介護度で利用料金が変わらない介護サービス

一方、以下のようなサービスは要介護度によって利用料金が変わりません。

■訪問介護
■訪問入浴介護
■夜間対応型訪問介護
■訪問看護
■訪問リハビリテーション
■福祉用具貸与
■特定福祉用具販売
■住宅改修費の支給

要支援・要介護の判定方法は?

要支援・要介護の判定プロセスについて説明します。判定が行われるまでの手続きやその仕組みに焦点を当てて解説します。

要支援・要介護認定の流れ

要支援・要介護の認定を受けるためには、各市区町村の担当窓口で申請が必要です。申請後、担当者が自宅を訪問し、必要な聞き取り調査を行います。

この段階で市区町村からかかりつけ医に対して、本人の心身に関する主治医意見書の作成が要請され、かかりつけ医がその意見書を作成します。

その後、調査結果や主治医意見書を基に、コンピュータや介護認定審査会による審査が行われ、最終的に市区町村によって要介護度が判定されます。

要支援・要介護区分の判定の仕組み

要支援・要介護の区分は、どのように判定されるのかについて解説します。

要介護認定は、まず一次判定がコンピュータによって行われ、その後に二次判定が学識経験者による介護認定審査会で行われます。一次判定では、聞き取り調査などで得られた情報から、介護に必要な手間を示す「要介護認定等基準時間」が算出されます。

要支援1から要介護5までの各介護度には、それぞれに対する要介護認定等基準時間が設定されていますが、これはあくまで「基準」であり、実際の介護時間や介護サービスの利用時間とは直接の関係がありません。

要介護認定に関するよくある質問

最後に、要介護認定に関する一般的な疑問についてご紹介いたします。

Q
要介護認定の期限はありますか?
A

要介護認定には期限はありませんが、状態が変化した場合は再度認定の申請が必要です。

Q
要介護認定を受けなくても介護サービスは受けられますか?
A

介護保険サービスや介護予防サービスは、要介護認定を受けずに利用することも可能ですが、認定を受けると一部サービスが充実します。

Q
要支援・要介護の区分は一度決まると変わらないのですか?
A

要支援・要介護の認定結果には、期限があり、定期的な更新が必要です。

初回の認定結果は半年間有効であり、その後は1年ごとに更新が必要となります。有効期限が切れるたびに、再申請と調査が必要です。

また、有効期限が経過する前に、体調に著しい変化(回復/悪化)があった場合は、介護度の変更を申請することも可能です。

Q
認定の内容に納得ができません。対処法はありますか?
A

認定の内容に納得できない場合は、所在地の市区町村の役所・役場に相談してみてください。

相談を通じて、なぜ予想と認定結果が異なるのかについて詳細な説明を受けることができます。

それでも納得がいかない場合は、各都道府県に存在する「介護保険審査会」に対して申し立てを行うことができます。

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